非抜歯矯正とは
現在日本では、一般的な矯正治療法として、第一小臼歯4本抜歯による治療が行われています。当クリニックでは、アメリカ矯正治療の第一人者 グリーンフィールド氏 (Dr.Greenfield)のフィロソフィーに基づいて、小臼歯非抜歯による治療を行っています。顎の成長を考慮し、上下の歯列の横、及び後方への拡大という3次元的な改善を行いながらの治療となります。この治療により少なくとも、28本の歯が守られ、将来にわたって機能していきます。歯は、人間の健康を維持する大きな役割を担っています。患者さんの健康を考えて、出来るだけ健康な歯を残しながら矯正治療を進めています。
非抜歯矯正のメリット・デメリット
メリット
- 第1小臼歯を抜くことで、口元が引っ込みすぎたいわゆる老人顔を作ってしまうことがありますが、歯を抜かない場合、ごく自然なふっくらとした口元にすることができます。
- 上顎第1小臼歯の根が副鼻腔に入っていることがあり、抜歯したときの鼻や目への影響が全くないとはいえず、その心配がない。
- 健康な永久歯4本をむやみに抜かず、噛みしめる力を弱めずにすむ。
- 小児歯科医で咬合誘導(永久歯をうまく歯列の中に収めていく治療)を受けている場合、それを無駄にせずにすむ。
デメリット
- 横、後方への拡大後によりスペースを確保してから歯を並べていくので、治療期間が少し長くなる場合があります。
- 成人の場合、後方の拡大の妨げあるいは治療後の後戻り防止のため、親知らず(第三大臼歯)をすべて抜歯してもらう場合があります。
- 成人の場合、拡大により歯ぐきがやせて下がることがあります。またそれに伴い、知覚過敏症になる場合があります。
非抜歯治療方法の解説
八重歯のケース
八重歯、乱杭歯については、GMD(グリーンフィールドモーラーディスタライザー)により大臼歯を後方、側方に拡大してスペースを確保した後、犬歯を歯列内に移動していきます。最終的には写真のようにきれいな歯並びになります。
他の医院で抜かないと治らないと言われた人でも、当院で非抜歯矯正が可能な場合があります。
当クリニックでは、最新の3D CT レントゲン画像、3D 口腔内スキャナー(iTero Element)を使用して、3次元的に歯並びや骨格の状態を把握できますので、従来の2次元的なデータでは捕捉できない歯の効率的な動きを治療に取り込むことが可能です。このことは、グリーンフィールド氏の歯を3次元的な動きで捉えて非抜歯で治療するフィロソフィーと合致するものであり、結果的に非抜歯による矯正治療を可能にするものであります。
当クリニックでは、以下のような非抜歯のための矯正装置を使用しています。
- GMD(グリーンフィールドモーラーディスタライザー)
- カリエールモーション
- 3Dリンガルアーチ
- 上顎急速拡大装置
- ミニスクリュー
よくある質問
非抜歯矯正はよく失敗すると聞きましたが・・・
患者さんの協力が得られないため、非抜歯のための装置がうまく機能しないことが原因で生じることがほとんどです。当クリニックでは、患者さん自身で使用するヘッドギアなどの補助装置を夜間のみにしたり、極力使用期間を短くして対処しています。
非抜歯矯正は歯を削る必要があるのですか?
歯列の拡大には限界があります。ケースによってはディスキングと言って、歯と歯の間を0,5mmほどスライスしてスペースを確保します。6前歯をスライスするだけで3mmほどのスペースが確保でき、非抜歯治療をするうえでたいへん有効です。歯の表面の硬いエナメル質の一部を削るだけですから、虫歯になりやすいとか、歯がしみるとか、歯が脆くなるということは一切ありません。
非抜歯矯正だと、口元が出てしまい、横顔がおかしくならないでしょうか?
スペースの無いところに単純に広げるだけの非抜歯治療ですと、前歯が前に傾斜してしまい口元の突出や横顔にも悪い影響が出てしまいます。当クリニックでは、横及び後方への拡大によりスペースを確保してから歯を並べていくので、前歯が前方に突出することはありません。